夏のカケラ
八田はタバコを取り出し、桜川にも勧めた。


だが、桜川は手を向けて、

「医者に止められてる」

そう言って笑った。


八田も笑いながら、

「お互い歳だな・・・俺も本当は止められてるけど、辞められない」

お互い笑い合う。


一仕切り笑った後、八田が話しを切り出した。


「・・・よく、来てくれた・・・感謝するよ」


八田はタバコに火をつけた。


桜川はソファーで足を組む。


「・・・最後の奉公先として迎えてくれた事は感謝するがな・・・」


桜川は言葉を一旦止める。


「・・・分かってる。お前が野球を辞めた理由は聞いている・・・」


八田はソファーで身を乗り出しながら話し出した。
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