夏のカケラ
桜川は八田を見つめた。


「・・・なら、どうして?」


八田はタバコを灰皿に押し付ける様に消し、立ち上がった。


そして、校長室の壁を見た。


そこには、三枚だけ賞状が飾られている。



「・・・ウチの学校は、創立して30年に満たない・・・」



そう言って、賞状を見つめた。


「30年の間に賞状は三枚だけ・・・どれも、市内のコンクールで学校が強制的に参加させた物だ・・・」


桜川は八田を見つめていた。


八田は少し顔を下に向ける。


「・・・別にな、賞状や、学校の名誉が欲しい訳じゃ無い・・・」


八田は桜川の方を見て笑った。
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