夏のカケラ
桜川は黙って八田を見ていた。


「ウチの生徒達は、みんな普通の子供ばかりだ・・・特別な問題児もいない・・みんな普通に学生生活を送り進学率も悪く無い・・・だが・・・!」


八田は言葉を区切った。




「・・・熱く成らない・・・!」




桜川は八田の顔をジッと見ている。


八田は再びソファーに腰掛け、タバコをくわえた。


「・・・自分の限界に挑戦する事なく・・普通に過ごしている・・・」


タバコに火をつけ、煙りを吐き出した。


「・・熱く成って、失敗するのが怖いんだ・・・だから、みんな冷めている・・・」


桜川は黙って八田を見つめていた。


「桜川・・・俺も二年で任期満了だ・・・引退後はのんびり余生を過ごそうと思う・・・」


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