夏のカケラ
八田は桜川を見据えた。




「だから・・・最後に味合わせてやりたい・・一生懸命やる事の素晴らしさを・・・そして、胸に刻み込ましてやりたいんだ・・・今、この一瞬を・・・!」




八田は続ける。


「大人に成って、自分の子供が出来た時に、自慢させてやりたいんだ!俺は輝いていた!と・・・別に甲子園に出れ無くても良い!だけど・・・だけど・・・!」


八田は言葉が続かない。


だが、桜川は痛い程に八田の気持ちは伝わった。


二人は黙り込んだ。


煙りだけが部屋に充満する。


沈黙の後、桜川は口を開いた。



「・・・お前は、教師だな・・・」




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