夏のカケラ
僕は顔を上げた。


アキラもカズを見た。


「下手でも・・・野球して良いじゃん・・・」


カズは真っすぐ僕を見ている。


「い、いや・・・その」


僕が口ごもる。


「・・・俺も下手なんだ」


カズは下を向きながら呟いた。


「・・・え?」


カズは僕を見た。


「俺は・・・色んな高校の野球部の選抜テストを受けた・・・でも、全て落ちたんだ・・・」


カズの目は恥じては無かった。


真っすぐな目だ。


僕はカズを見ていた。



「けど!」



カズが叫ぶ。

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