夏のカケラ
強い心
二月の終わりの風が、少し春の風の臭いを漂わす。


僕は自分のキャッチャーミットを嵌めた時、思わず笑みが零れた。

みんなが同じ気持ちであったのだろう。見ると全員笑っている。


「よし、まずは10mの距離からゆっくり投げろ!」


監督の声に、みんながゆっくり投げ始める。

ケンが僕に向かって大きなフォームで投げた時、ボールは僕の遥か上を通過して行った。

「あ、すいません!」

ケンが叫ぶ。


だが、それはケンだけでは無しに、みんな同じ様に暴投を投げていた。

みんなが首を傾げる。


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