夏のカケラ
しばらく走ると、前から野球のユニフォームを着た連中が走って来た。


全員が顔を真っ赤にして、汗をビチョビチョにかいている。


息が非常に荒く、目も虚ろだ。


僕は道の脇にどいて、その連中に道を開けた。


その連中は疲れ切っているのか、礼を言う余裕も無く走って行く。


僕が黙ってその連中を見送ると、後ろのマイが「あっ」と言う声を出した。


「何だ」


僕が聞くと、


「奥野だ」

「え?」


僕が振り向いて、もう一度その連中を見ると、最後尾に奥野がいた。


奥野は、僕が中学の時に同じ野球部でキャッチャーをしていた奴だった。
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