夏のカケラ
前夜
生野学園は順当に勝ち上がっていた。

奥野がレギュラーに成っている。

8番でキャッチャーだ。

アイツはやるよな・・・


僕は準決勝の当日、朝刊を見ながら思っていた。


「ヒロ」

父親が朝食を食べながら、僕を見て来た。

「何だよ」

僕は朝刊から目を離して、父親を見た。

「今日も行くからな」

最近父親は会社を休んで、僕の応援に来ている。

僕は再び朝刊に目をやって、

「あっそ・・・」

正直余り休まれると、生活が不安に成る。

「頑張れよ!」

父親はそう言って笑った。

僕は苦笑いをした。
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