夏のカケラ
9回の表、投球練習を終えるとケンの元に向かった。

「ケン」

「はい」


僕はケンにボールを渡す。


「この回、神山に打順が回る」

「はい・・・!」

「生野戦の前の力試しだ・・・三球で抑えるぞ!」


僕の言葉にケンはゆっくり頷いた。





応援席から、大歓声が沸き起こっている。

両者共必死の応援だ。


ケンが大きく振りかぶって、渾身のストレートを投げて来た。


ドーンッ!


と言う激しい音と共に、僕のミットに収まる。

バッター二人が内野ゴロに倒れ、最後のバッターの神山を迎えた。


応援席から、後一人のコールが高まる。

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