夏のカケラ
「そう。指で押し出す様に投げるから・・・回転が掛からずに、空気抵抗で揺れるんだよ」

「でも見られても、この球は打てないでしょ?」

「・・・まあな」

「なら良いじゃん」


マイがそう言うと、ヒロはベッドに横に成りながら答えた。

「だが、問題が有る・・・」

「何?ムネオ君の負担が大きいの?」

「それも有るけど・・・一番の問題は・・・」


ヒロは横に成りながら天井を見つめていた。


「投げた本人も・・・どこに行くか分からないから、ストライクが入らないし・・・俺が捕れない可能性が有るんだ」


マイはヒロを見つめる。


「だから・・・できれば、生野戦の時だけ使いたかった・・・奇策としてな・・・」


ヒロはそのまま口を閉ざした。

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