夏のカケラ
「なあ、って」


茶髪不細工はしつこく声を掛ける。


僕は無視をする。


「おい、無視すんなよ!」


僕は仕方なく顔を横向けた。


「え、俺?」

「お前しか、いねーだろ、誰が壁に向かって話し掛ける奴がいるんだよ!」


お前さっきまで、壁に話し掛けてたじゃねーか!!


「なあ、これ誰か分かる?」


そいつは僕の気持ちをお構い無しに、トイレを終えてバッティングのフォームをした。


僕はそれを見て、すぐにピーンと来た。


「八重樫!八重樫だ!」


僕は思わず興奮して言った。


「正解!やるな!」
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