夏のカケラ
僕は試合前の練習でも、エラーをしまくった。


その度にバックネット裏から嘲笑が漏れた。


そして、その嘲笑で僕は更に舞い上がる。


僕は逃げ出したく成って来た。


一年前の惨劇がフラッシュバックされる。


結局、周りが見えないままに練習が終わり試合開始の時間となった。





「おい、ヒロ緊張し過ぎだぞ」


ベンチでアキラが僕に言った。


アキラとカズは試合に出ない。


ウチの顧問は実力は関係無く、学年順に試合に出して行く。


分かりやすい人であった。


僕はアキラの声も耳に入らない。


アキラとカズが顔を見合わせる。
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