夏のカケラ
そう五年間僕に言い続けて来たが、結局レギュラーに成る事ができなかった。


期待を裏切った事は僕も悲しかった・・・・


そんな高津コーチが立っていた。


「こんな夜遅くまで練習か?」


高津コーチは、僕の方に歩いて来た。


「は、はあ・・・」


僕は曖昧に返事をした。


高津コーチは、僕のバットを握り素振りをした。


「何だ?何か悩んでんのか?」


高津コーチのバットの素振りの音が響く。


「・・・悩みと言うか・・・」


高津コーチは、僕をチラッと見た。そして懐からタバコを取り出し火をつけた。


「言えよ・・・ヒロ。八百屋の親父でも役立つ事が有るぞ」


そう言ってタバコをくわえながら再び素振りをした。
< 96 / 715 >

この作品をシェア

pagetop