夏のカケラ
僕にはセンスが無いんだ。

分かっていた事だが、少し期待していた・・・心のどこかに励みにしていた事が打ち砕かれた。


高津コーチが続けた。


「監督の吾妻さんに、いつも言われていたんだ・・・甘やかすとアイツの才能を伸ばす事が出来ない・・・って」


え?


僕は顔を上げた。


「吾妻さんは、お前をいつも怒ってただろう?」


そうだ。僕はあの人にいつも怒られていた。


僕は嫌われていると思ってた。


「あの人は、お前は叱られて伸びるタイプだと思っていた・・・だが、俺が甘やかした・・・」


え?・・・どう言う事・・・?
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