鏡の中の彼女
発車する俺の乗った電車を見送る小さな女子高生。



ガラス越しに見える屈託のない笑顔が遠ざかる。



『次は...』



アナウンスをする車掌の声。



もう少しで俺はまたあの場所に着く。






大きな病院の前。



俺はいつもここに来ると、足が竦む。



高い建物を見上げて、止まってしまう。



だけど引き返すわけには行かなくて、何秒か止まった後に自動ドアをくぐり抜ける。



何も考えたくなくて、5階まで一気に階段をのぼる。
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