鏡の中の彼女
髪の短い女の影。


誰だかは分からない。


だけど少し気をゆるめると俺をからかうように現れる。


気がつくとそれは消えているのだけど。


それが去った後、俺は何だかよくわからないけど苦しい気持ちになる。





「「陵おかえり!!」」


クラッカーのパン、という音といろんな人の声。


俺が潤の後をついて自分の教室に入ると、飛び込んできたのはカラフルに装飾された部屋だった。


「すげぇ...」


「どう?驚いた?」


隣の潤がにやにやしながら聞いてくる。


その潤の背中を叩いてありがとうと言いたかった。


だけど潤は俺の左隣にいて、折れた左手ではできなかったから、ただ「びっくりした」と答えておいた。
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