鏡の中の彼女
歩くたびに足が痛くて、思わず変な歩き方になる。


そんな俺を見て潤が笑う。


「なにそれ、どした?」


「きんにくつーっ!」


足を止めずに横目で睨む。


潤が俺の病室に通ってくれたせいか、俺は潤とは普通に話せる。


普通に話せるし、普通に馬鹿できる。


「これは失礼しましたー」


今日は終業式で、練習も長かったから本当に体中が痛い。


今までの自分はタフだったんだなぁと感じる。


...と、俺の前にまたあの影が現れた。


今度は、俺に向かって走ってくる。


なんだか苦しくなってきて、足を止めて目を瞑る。


その瞬間、影は消えた。
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