鏡の中の彼女
「前も陵がさ、松田の変顔にしつこくつっこんでたんだよ。


だから変わってなくてびっくりしたんじゃね?」


「なんだ...」


松田の動きが止まったのは、ショックとかじゃなくて、ただの驚きだったのか。


なんだか笑えてきた。


俺の笑いにつられてか、潤も一緒に笑い出す。





最寄駅の改札を抜けると、誰かが俺の肩を叩いた。


振り返ると、犯人は姉の美貴だった。


「びっくりした?」


俺よりも小さいその人は、白い歯を見せてニッと笑った。


俺の姉はどうやら大学生らしい。


「うん。


...今、帰り?」


「そ。一緒に帰ろ」
< 45 / 61 >

この作品をシェア

pagetop