鏡の中の彼女
並んで歩くと、姉は俺よりも歩幅が小さいせいで歩くのが遅かった。


それに合わせて、喋りながら家まで帰る。


「俺たちって、よくこうやって一緒に帰ってた?」


「ううん、偶然会った時だけ。今日みたいに」


「そうなんだ」


「そりゃあね。お互い色々あるからね」


よくわからなかったが、適当に頷いておいた。


「ねぇ」


「...ん?」


「ちょっと寄り道しよ」


姉に連れられるがまま近所を歩き回った。


あそこがなんとかで、ここがなんとかで...と説明を聞きながら。


小さい頃遊んだという公園や通っていた幼稚園や小学校や中学校。


どうやら俺は今までこの小さな世界の中で暮らしていたようだ。
< 46 / 61 >

この作品をシェア

pagetop