マッタリ=1ダース【1p集】
第14話、彼が好き
「警戒心の強いブスは、救いようがない」
意中の彼がそう言っているのを、カフェテラスの隅で聞いた。
その言葉に敏感に反応したのは、きっと私ぐらいではないだろうか。
私は一人で……、彼は仲間三人と共にランチを取っている。
彼の仲間の一人が話す。
「それは言えるな。綺麗でガードが堅いのはまだ分かるが、ブスなら理解し難い。男が寄って来ないだろうに」
カチン、ときた。
私は決して綺麗ではない。外見を言われればブスになると思うのだが、その言い様は看過出来ない。
モヤモヤしながら、野菜サンドをかじる。パン粉がぽろぽろと皿と自分の隙間に落ちる。
顔に自信がないから、太らないように気を付けている。母からは清潔感で補えとの有難いアドバイスも貰っている。
紙パックのコーヒー牛乳をストローで吸おうとして口を近付けた。横着が祟り、くわえ損ねてタプンと倒れた。
『やれやれ……』
運よく溢れなかった。
食べ掛けのサンドイッチを皿に戻し、手に付いたパン粉を払う。改めてコーヒー牛乳に手を伸ばすと、今度は掴み過ぎてストローから中身がぴゅうーッと噴き出した。
「わわ、あっあ〜」
何が起こったのかを整理する間もなく、ただ気が動転する。事態は悪化し、飛び出したコーヒー牛乳が小便のような放物線を描く。
「おわ、ウヒョオオ〜ぉ!」
何ておバカな奇声を発してしまったのだろう。案の定、店内は静まり返り、皆の視線が注がれる。勿論、彼も例外ではなかった。
しかし学生たちは、すぐさま元のざわめきを取り戻した。彼らは貴重な学生生活を謳歌しているのだ。
「お前の言う通り、そうなんだ。だけどな……」
彼は話の続きをする。
「俺はそういうヤツほど、信頼できると思っている」
そう言い切った彼を囲む三人が、それぞれ顔を見合わせる。
気のせいだろうか。
彼は私を念頭に話していないだろうか?
「だってそうだろ? よく考えてみろよ」
彼は身を乗り出し熱心に語る。他の三人も周りで楽しく会話をしている女子大生をつぶさに眺め「それもそうだな……」と、頷く。
何の根拠もなく、近くでニヤニヤと聴いていた私は、こっそりとただ赤面するしかなかった。
意中の彼がそう言っているのを、カフェテラスの隅で聞いた。
その言葉に敏感に反応したのは、きっと私ぐらいではないだろうか。
私は一人で……、彼は仲間三人と共にランチを取っている。
彼の仲間の一人が話す。
「それは言えるな。綺麗でガードが堅いのはまだ分かるが、ブスなら理解し難い。男が寄って来ないだろうに」
カチン、ときた。
私は決して綺麗ではない。外見を言われればブスになると思うのだが、その言い様は看過出来ない。
モヤモヤしながら、野菜サンドをかじる。パン粉がぽろぽろと皿と自分の隙間に落ちる。
顔に自信がないから、太らないように気を付けている。母からは清潔感で補えとの有難いアドバイスも貰っている。
紙パックのコーヒー牛乳をストローで吸おうとして口を近付けた。横着が祟り、くわえ損ねてタプンと倒れた。
『やれやれ……』
運よく溢れなかった。
食べ掛けのサンドイッチを皿に戻し、手に付いたパン粉を払う。改めてコーヒー牛乳に手を伸ばすと、今度は掴み過ぎてストローから中身がぴゅうーッと噴き出した。
「わわ、あっあ〜」
何が起こったのかを整理する間もなく、ただ気が動転する。事態は悪化し、飛び出したコーヒー牛乳が小便のような放物線を描く。
「おわ、ウヒョオオ〜ぉ!」
何ておバカな奇声を発してしまったのだろう。案の定、店内は静まり返り、皆の視線が注がれる。勿論、彼も例外ではなかった。
しかし学生たちは、すぐさま元のざわめきを取り戻した。彼らは貴重な学生生活を謳歌しているのだ。
「お前の言う通り、そうなんだ。だけどな……」
彼は話の続きをする。
「俺はそういうヤツほど、信頼できると思っている」
そう言い切った彼を囲む三人が、それぞれ顔を見合わせる。
気のせいだろうか。
彼は私を念頭に話していないだろうか?
「だってそうだろ? よく考えてみろよ」
彼は身を乗り出し熱心に語る。他の三人も周りで楽しく会話をしている女子大生をつぶさに眺め「それもそうだな……」と、頷く。
何の根拠もなく、近くでニヤニヤと聴いていた私は、こっそりとただ赤面するしかなかった。