ダカラ、my girl♥
「うーん・・・。何、作ろうか?」

「僕、作る人、古幸さんは
お風呂沸かす人。それ、どう?」

「本当に? じゃ、お任せしようかな・・。」


冷蔵庫の野菜をたっぷり刻んで
鶏ささみのオムライスを作った。

お風呂を洗い終わってお膳立てを
手伝ってくれてた彼女の驚く顔。


「わぁ・・・スゴイ・・美味しそう・・。」

「あつあつのウチに食べよう?」


ふわふわの卵の焼き加減に
彼女を感動させられたら嬉しい。


「うわ・・美味しー・・粟国くんて天才?」

「フフ お世辞言ってもキスしか出せないよ?」

「エ・・ だってホントに美味しいって・・・。」


赤い顔の君とトマト・ソース。

そんな彼女と過ごす僕の愛おしい時間。

君が居るだけで美味しい食卓になる。

古幸さんのオイシイ・スマイルに
コトコトとお鍋みたいに揺れる心臓。

他愛のないことで
体中が再認識しているんだ。

やっぱり僕は君が好きなんだ、と。

誰にも・・ジャマなんかさせない。



「・・・ねえ? 粟国くん・・さっきの人、
実は、あまり仲良くなかったの?」


食後、食器を洗ってた古幸さんが
静かに隣の僕に訊ねてきた。

僕は泡の着いた食器を水で洗い流す。


「顔に出てた?」

「・・・少し。」


日頃はまったく
うとい彼女がそれを察するなんて。

馴れ馴れしく話しかけた彼にも
何か感じとったのかもしれない。


「・・昔の事だけど、隠し事もしたくない。」

「うん・・・。」

「僕は絶対ノーマルだから安心して
聞いて貰えるならちゃんと話すよ・・・?」


カチャカチャと食器乾燥機にお皿を
キチンと並べて行く。

洗い終わった彼女も
手をタオルで拭きながら小さく頷いた。


「・・友達だと思ってた・・だけど、
彼が僕に抱いたのは別のものだった。」

「それって・・・・?」

「・・・"三角関係"って言うのかな?」


それは腐女子と呼ばれる女の子が
好みそうな話なのかもしれない。


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