ダカラ、my girl♥
「あっ・・イタ・・。」


僕が二日酔いになるなんて。

迂闊だった。

まさかワインまで用意しているとは。

つい、飲み過ぎちゃって。

ベッドから這い出すと
ボーッと目覚ましを見つめた。


「寝坊した・・・!」


けれど学校は休むワケには行かない。


( 今日も古幸さんが待っている。)


「燐くん、おにぎり作っといたよ・・?」


玲子さんはロフトで二度寝中。

作ってあった籐の入れ物を鞄に入れ
慌ててブレザーに着替えるのだ。


(・・・間に合った・・。)


校門前まであと少しのキョリ。

自転車のキィィーってブレーキ音に
さっきから耳を塞ぎっ放しだ。


「粟国くん・・平気?顔色良くないよ?」

「あぁ、心配ない、大丈夫・・。」


朝、廊下で会った古幸さんにまで
心配させてしまった・・。

なんてことないんだ。

ただ、廊下で騒ぐヤツらを全員
締め上げたい気分・・・なのに。


「ちょっと、保健室行って来る・・。」

「あ・・1人で大丈夫?」

「はは・・平気だって。」


そう、ただの二日酔いなんだから。

そしてそれは
古幸さんと離れた、直後だった・・。


ばしッッ・・!


「きゃっ・・!」


僕はその声に振り向き、
眼鏡で焦点を合わす。

彼女に・・今、
サッカーボールが当たったらしい。


「ちょっとぉ・・危ないじゃん・・!」

「小学生じゃないんだから・・!」


他の女子の視線の先には
冷ややかな空気の中、笑う連中がいた。


「あっ、悪リィ、表面積
広すぎるから当たっちゃった?」


ああ・・アイツか。

クソ、メンドウな男だ・・!





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