ダカラ、my girl♥
『ねえ? もしかして電車通学止めて
自転車で通うことにしたの?』


「うん・・あのね、帰り道に
激安の自転車を見つけたから・・。」



電話の向こうで
カチャカチャと食器の音と
彼のクスクスと笑う声が交差する。


『じゃ、明日迎えに行こうか?』

「えっ?」


思いもしない言葉に動揺してしまう。

だって・・なんで、そう云うの?


『僕もシティ・バイク出そうと思ってさ。
乗るチャンスがあんまりないから。』

「粟国くん・・・。」


でも、あの峰さんの事を思い出すと・・
胸がキュウッとなっていた。

プライベートな事だし、
そんな事、私に聞けるはずもなくて。


『・・あ、迷惑なら・・。』

「えっ、違うのっ! 嬉しくて・・。
本当にいいのかなぁって思って・・。」


しばし、短いのに長い様な沈黙。
そして・・"ハー"と息を吐く音がした。


『ねえ?
誰かに何か言われでもしたの・・?』

「・・・・。」

『古幸さん・・?』

「・・・ううん、何も・・。」

『・・じゃ、明日の朝行ってもいい?』


私は・・
"ウン"としか答えようがなくて。




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