ダカラ、my girl♥
その日の帰り、廊下ですれ違った
保健の先生に呼び止められていた。


「粟国くん、いい所で会ったわねェ。
今ね、業者さんから荷物届いたのよ。
悪いけどちょっと手伝ってくれない?」

「エ・・・・。」

「手伝ってくれるよねー? ん?」



彼の、ハアと肩を下げる溜息。

先生に何か弱みでもあるのかな?

これから図書室に本を返してから
一緒に帰るつもりだったのだが・・。



「粟国くん、本返して来てあげるよ。」

「・・うん・・いいの?」

「いいって。」

「じゃ、自転車置き場で。」

「うん。がんばって。」


図書室はちょっとおっくうだけど、
終ったらそのまま帰れるからいいや。

そう思って行ったのが間違いだった。


「ご本人は・・・?」


受付も、周りの係りの子も目が怖い。

殺気って・・こんな感じかな。


「あの、粟国さんは先生の手伝いで。
だから代わりに返しに・・。」

「・・・あっそ。じゃこれ、
棚に自分で直しといてね。ハイ。」


ボスン! とカード記入が終った本を
私に付き返してくるのだ。


( 何で私が・・・。)


普通、こんな事はさせたりしない。



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