ダカラ、my girl♥
「あ・・、
一緒に寄る所があるから。」


おまけに放課後までフラれた。

二人は足早に
僕の元から走り去って行く。

・・・取り付く縞もない。

僕が何をしたと言うのか。
明日の朝、晴れたら聞けるよね?

女の子は難しい。
突然の仕打ちには毎度悩まされる。

やましい事は何一つしていないから
あまり深くは考えずに済むが・・。

雨も止んだし、
二人一緒だから大丈夫だろう。

僕は久々に図書室に寄ったんだ。

何だか係りの女の子たちが
いつにもまして親切なのは気のせい?

「あ・・これ・・!」


誰かからの寄付で
読みたかった本が入荷していた。


「・・・翼の折れた天使?
随分マニアックな本を置いてンだ?」

「僕、これ買おうかと迷ってたんだ。
リオ・ファンの間では一番いいって・・」


嬉々とその本を手に取り
いつもの席で本を開いていた僕は
話し掛けられた声に顔を上げていた。


「・・どうも。」

「初めまして。」


素顔に艶々の色つきリップ、
脱色したような色の茶髪の女の子。

その髪型・・どこかで見た気がする。
流行ってるのかな。


「・・君、どこの生徒?」

「転校生よ。こっちに越してきたの。」


ああ、それでセーラー服なんだ。

そういや
最近、新しい住宅街もできてる。

その辺に越してきたのかな?

僕は周りを見た。

図書室ではこんなお喋り
直ぐ注意されそうだったから。


「こんなとこで何してんの?」


彼女は立ったまま僕の隣で
腰を落とし両手で机に頬杖。

顔をチラッと覗き込んでは
おかしな事を聞くんだ。


「君が云ったとおり僕は今、
マニアックな本を読んでいる。」




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