ダカラ、my girl♥
「そうじゃなくて。不健全よ。
イイ男が放課後、1人こんな所で
自分の世界に入っちゃうのは。」

「・・・シー、静かに。
ここは図書室だよ?」


「平気よ、誰も聞いてないって。」

「いや、そう言う事じゃないから。」


おまけに行儀が悪いコだ。

突然、机の上に上半身預けてゴロリ
僕の顔を見上げてるんだから。

それってもしかして
誘惑のポーズのつもり?


「ねーえ? 彼女とかいないの?
エッチするような友達とか。」

「不躾だと思わない? 初対面なのに。」

「ふふふ、思わなーい♪」


つんつんと指で鼻の頭を触って来る。

僕は耐え切れずに本を膝の上に乗せ
横を向いた。


「残念だけど、好きな子がいる。
だからもう放っておいて欲しいな。」

「へー、どんなコ? 教えて。」

「・・君とは正反対。素直で照れ屋さんで
ほっこりする喋り方の笑顔の素敵な
ぽっちゃりとしたとても可愛い人だよ。」


なんで僕もまた
こんな事を彼女に白状してるんだ?


「ああ、知ってる。
駅で虐められてたコね。」

「・・・・・!?」


僕は思わず顔を上げた。

何秒経ったと云うのか?

さっきまでココに気配があったのに
ドアに向かってるセーラー服の後ろ姿。


「君・・・!」


驚きながらも
そう声を掛けた時には
白い手がドアの向こうに消えてった。

パタン・・・。

雷の音に僕はハッとなる。

雨は降っていないのに
紫色の稲光が窓の外を走った。

ゴロゴロ・・ドォーン!

女のコたちの悲鳴、そして停電。

突っ立っている僕の影だけが
窓ガラスに残っていた・・。



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