ダカラ、my girl♥
Ⅵ,opacity
「粟国くん・・、やっぱり自転車通学も
続かないみたい。ごめんなさい・・。」

『ううん。・・明日から電車?』

「うん・・家からじゃバス停の方が
遠いし。・・じゃ、おやすみなさい。」

『・・おやすみ。』


ピッ。

こんな電話したくなかった・・。

ベッドの上で三角に体を折って
今朝の事を思い出している。

何度も蘇って来る、
悔しさと恥ずかしさ・・。

混雑を恐れて後から出て行くと、
階段を下りた所で足を引っ掛けられた。

皆、見て見ぬフリや、
クスクス嘲笑って見て通って行く中

こけて、手を離したカサは右へ左へ、
サッカーのボールみたいに
女の子たちに蹴られてパスされて・・


"返してよ・・!"

"ハハ、早く取ればいいじゃん"

"ドンクサ~"

"なんで粟国くんもアンタなんかを
‘ペット’にしちゃったのかしら"

"大人しい顔して何かご奉仕し・・アッ"


ドシンっ。


リーダー格の、町田の彼女が
肩で体当たりされてぐらついてた。


"ドコ見て歩いてんのよ!"

"ヤバイよ この女は"


ヤバイと小声で言われたのは
同じ中学だった・・同じクラスの女子。

鬼無さんは綺麗なルックス、
そのハデさから色々な噂が立っていた。


"お前らが邪魔だっつーんだ。ブスの
売れ残り同盟の集会はヨソでやれって"

"な・・・!"

大きな声でそう言われて、
町田の彼女はカッと顔を赤くした。

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