ダカラ、my girl♥
そこに立っていたのは思いがけず
古幸さんだったのだ。

僕は咄嗟にドアを開けてしまった。


「いらっしゃい・・今晩は。
どうしたの? 1人・・?」

「今晩は・・ゴメンね、今・・
お母さんと一緒に遠足帰りの妹を
迎えに行ってたの。それでこれ・。」


彼女が差し出したのはビニール袋に
入った沢山のイチゴ。


「イチゴ狩りに行ったんだって。」

「わぁ・・凄いね、有難う。」

「ううん、迷惑じゃなかった?」

「どうして? 嬉しいよ。」


そう、あまりの嬉しさにすっかり
忘れていたぐらいだったもの・・。


「良かった。じゃあ、
下でお母さんが待ってるから・・。」

「あ、待って。渡したいものが、」


彼女を引き止めたその時だ。


ガチャ。


「「「 ・・・!! 」」」


僕は・・振り向くより先に

古幸さんの顔色も表情も
一瞬で失った顔を見てしまったんだ。

彼女の視線は僕を通り越して
バスルームから出てきた
鬼無さんを見ている。


「あ・・なんで・・?」

「コユキ、違うよ。あたし、
行くとこなくて泊めて貰うだけ・・。」

「・・・・!」


鬼無さんが服を着て出て来てくれた
事だけが救いだったかもしれない。


「帰りに偶然会ってね、それで・・。」


話せば解ってくれる、
そう信じて何から話そうと考えた。


「そう・・なんだ・・。
じゃ、おやすみなさい・・。」

「えっ・・・?」

「コユキ・・・!」


ダッ・・・・!

走って階段を降りて行ってしまった。

鬼無さんは急いで靴を履き、
彼女を追いかけてったが・・。

母親の車ですぐ行ってしまった。

明日、迎えに行った時には
すべてを話そうと思っていたのに。

それに・・こんな日に限って。

後で・・電話入れよう。
メールじゃ多分、信用して貰えない。

肩を落として戻ってきた彼女に言った。


「大丈夫、古幸さんは
きっと解ってくれる・・鬼無さん?」


肩を叩いた僕の手を弾いて
彼女が泣き出してしまったのだ。


「今度こそ誤解された
・・あたし・・また・・!」




< 74 / 114 >

この作品をシェア

pagetop