ダカラ、my girl♥
「・・・・。」

また、酷い人からだ。

そうっ・・と携帯を手にして
電源を切った。

布団に潜り込んだ闇は
次々と私に今までの良い思い出を見せる。


どうして助けたの、

どうして言わせたの

どうして指きりなんて

どうしてオデコにキス・・?


「う・・・・。」


本当に酷い人。

私、明日からどんな顔で
あなたに会えばいいんだろう?

1人熱に魘されて
身の程知らずな私を笑ってる。

彼も、きっと周りも。


コンコン・・・!

ノックの音に慌てて布団の中、
袖で涙でくちゃくちゃの顔を拭いた。


「コユキ? 入るわよ?」


車の中で様子が変だと思ったのか。

今日、彼を見送りながら、
お母さんは異様に喜んでいたのに。


"彼氏ができたって何で黙ってたの?"

"シィーッ! 止めて、聞こえちゃう!
カレシであるはずがないでしょっ!?"


"なによ、じゃあ誰にでもあんな
【オデコにチュー】とかするわけ?
彼って相当なスケコマシってコト?"

"スケ・・もー、いーかげんにして! 
粟国くんは凄く真面目な人なんだし!"


"だよネー、でなきゃアンタが
引っかかるワケないもんねぇ~?"

"お母さん、下品!!!"

"興奮しない、声が大きいって・・!"


妹と母のガールズ・トークがいつも
羨ましかったのに・・思えば、
最初にして最後になっちゃったな・・。

「・・・?」


布団を被る私の指に、冷たい手が触れた。


< 78 / 114 >

この作品をシェア

pagetop