ﾀﾞｶﾗ､ｍｙ ｇｉｒl♥

「・・・私じゃないでしょ?」


たった今、フラれた?
私がフッタ・・?

まさに彼がドアノブを回した、
絶妙なタイミング。

その呟きが彼を立ち止まらせた。

そう吐き残して出て行こうとする彼に
全ての終わりを感じて･･ぷちキレてた。


「私、女子たちに"粟国くんのペット"
だって言われてるの、知らない？」

「･･･何それ･･。」


ドアに背を向け、
強張った表情で私を見ている。


「だから･･その彼女が
私であるハズがないでしょ･･?」


私は彼が持ってきた荷物を抱き抱えて
ベッドを降りると彼に着き返していた。


「古幸さんも・・・・ずっと、
そんな風に思ってたんだ・・?　
僕にペット扱いされてるって・・?」


クールだった眼差しに熱と潤みが見えた。
そして声も微妙だが揺れている・・。

こんな彼を見るのは初めてで私も
動揺を隠せなかったろう･･言葉に詰まる。


「・・解んない・・だって粟国くんと
私じゃ釣合い取れないって思うし・・。」

「・・・・。」

「皆の言うとおり・・私はデブで
痩せた所で見栄えのしないブスだし・・!」


言ってるうち・・悲しくなってきた。

私は俯きながらドアを引こうとするが
彼がそうさせなかった。

首を振ってドアノブを引っ張ろうと
する私をとうとう引き剥がし、

泣きながらじたばたする私の両手を
真剣な顔で取ろうとしてる。


「もう・・構わないでいいから・・!」


粟国くんは知らなさ過ぎるのだ。

・・廊下を歩いてるだけで
知らない子たちからワザと聞こえる声で

"ペットちゃん"なんて言われても
気のせいだと思うようにしてのに。。


「あ・・・!」


振り払おうとする手をグイと引っ張り
ドアにもたれる形でとうとう・・

泣いて、ふにゃってる
体を抱き止められてしまった。

クふー・・と言った溜息、
見上げると彼は唇を少し噛んでいて

目は真っ直ぐ、前を見据えてる。
まるで・・覚悟を決めた侍みたいに。


「あなたが必要だから・・
あなたを好きになった訳じゃない。」

「え・・・・。」