ダカラ、my girl♥
「鬼無さんね、
あさってに学校に来るって。」

「通うようになったらいいよね。」


そんな話をしながら
翌朝、早い目に家を出た。

私の肩には昨日貰ったバックパック。
私服で自転車を押す彼と並ぶ。

私は内心はウッキウキ♪

・・なんだけども、


「雨が降らなくて良かったよ。」


なんて、
粟国くんの方は本当にいつも通り。

はしゃぐにもはしゃげなくて。

今日は彼の部屋に寄って
バスで登校することにしたのだ。


「えっ? 電話?」

「そう、まりおって男の人から。
明日帰ってくるって云っといた。」


鬼無さんは私達を見上げながら
玄関で靴を履くと
そう言い残して自宅へと帰って行った。


「何で番号知ってるんだ・・?」


彼は一瞬、
考え込む様な首の捻り方をして
部屋の中へと入って行く。


「不肖の父なんだ」

「え・・・・?」


部屋を出てバス停まで
歩いていると彼が呟いた。


「扶養家族から早く脱したいよ」


・・・仲がよくないらしい。

端正なマスクを持つ少年は
何にも惑わされない自分を持っている。

彼はデザイン工学を学びたくて
この付属高校に来たそうだ。


( 目標がある人は違うな )


おおっ・・何てマバユイ。

芯を感じると言うか・・キラキラと
つい尊敬の眼差しで見上げてしまう。

そんな私の視線にも気づかないほど
彼は憂鬱そうに言うのだ。


「出来れば関わりたくないな」


そう言ったきり、バスに乗ってからも
何を考えているのか言葉少ない。

ついにどんなお父さんなのか
訊きそびれてしまっていた。

学校に入ると彼は鞄を置くなり
美術の授業の為
他の教材係りの子と準備をしにいった。


「また、後でね。」

「うん」


なんだか呆気ないよね。。

彼が出て行った後、
自分の席でコテンとうつ伏せ。

朝だって手を繋ぐこともなければ当然
夕べの"やり直し"もナイ訳で。


「・・・・・。」


昨日の事を思い出すと
むず痒くて・・恥ずかしい。

こんな普通な私が・・
彼とキス・・なんて。

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