ダカラ、my girl♥
「ホーラもう、早く行って!」

チャイムが鳴るギリギリで
ぞろぞろと後ろから先生たちに
追い立てられる様に美術室へ移動・・


「・・・。」

ちらっ・・と振り向くと、
ズバ抜けて背が高い
その男性モデルと目が合った。

洗練された大人の男性に
ニッ・・・と愛想笑いされる。

質の良さそうなスーツ、
ジャケットを素肌に着てた。

キリリとした眉毛、
くすんだブルー・グレイの瞳、
1つに纏めた栗色のロン毛・・


{ 別世界の人みたい ) 

遊びも仕事も適度に
楽しんでいそうな余裕があり優雅。

先生の知り合いなのかあ・・?

この学校から提示されるままの
ギャラを出せるとは思えないもの・・。

えっ? わっ・・。

私と隣を歩いていた女子の間に入ると
両者の肩を抱いて歩きだしたのだ・・。


「きゃっ♡」


隣のコはかなり、嬉しそうである。


「ハー・・日本の女の子サイコウ・・♡」


何だ、日本語ペラペラじゃん!
しかも本気で嬉しそうに言ってるし。


「オイオイ、フレンドリーだナ。」

「えー、あたしもやってホシー。。」


それは美術室前まで来た時だった。

・・・ズーン。

「あっ・・。」

異様な重い視線の先には腕を組んで
仁王立ちしている・・粟国くん。

「何やってる、こんなトコで・・!」

えっ・・私? じゃない・・このヒト?

慌てて離れようとすると、モデルさんは
腕の中の私達を胸に引き寄せた。


「チャオ、mio tesoro!
元気にやってたかい? おっと・・!」

「何しに来た?
女生徒が汚れる、放せ・・! 」


その両手を引き剥がす彼は
沸点近い恐ろしく怖い顔で睨んでる。


「ツレないなぁ・・何年ぶりだっけ?
まぁいいや・・ホラおいで、父さんだよー♪」


「「「「 父さんだよ!? 」」」」

「遺伝子上はね。」

クルッ。

生徒達のハモリそっちのけで
父さんは両手を広げて待ったりしたが
彼はアッサリ無視。


「"触らぬイタリア男にツワリなし"
女の子達は彼と目を合わさない様に。」


・・・そんなコトワザだったっけ?

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