ダカラ、my girl♥
「でも・・それから17年も
経ってるって事でしょ? 離れてても
ラブラブなんて素敵な事じゃ・・ア!」

「・・・・。」

そう言った古幸さんは僕の様子を見て
慌てて手の平で自らの口を押さえてる。

「いいさ・・大抵の人はそう言うしね。」

「粟国くん・・エ、そんな・・カゲスゴイヨ・・
あの・・背中にナンカ、憑いてるカモ・・。」


僕は背中の憑きモノを手で払い、丸く
なった背筋を正してコーヒーを啜った。


「親だけの問題じゃないんだよね?
特に、まだ小さい時なんかは・・。」


そう言う彼女の父親も・・
病気で早くに亡くなったそうだ。


「・・私もお父さんが居なくて、
寂しい想いをした事があったな、・・あ。」


斜めに座っていた古幸さんの首を
軽く抱いてこめかみに唇を寄せる。


「僕も一度位はあったかもね・・。」


女と噂の立つ父の影だけを遠くに見て
育つのとどっちがマシだったろう・・

週刊誌を賑わす父の写真を指で
なぞっては切ない顔を傾ける母の姿に

知らないフリで ただ僕は

あの人をいつも
腕に包んであげる事しかできなくて

「・・この話は止めない? 出来れば
本当に彼とは関わりたくないんだ。」

「・・・うん。」


プルル・・・

「・・・!」

顔を見合わせると僕は立ち上がり
家の電話に手を伸ばした。

「・・はい?」

『やぁ、父さ』

「用件。」


父は僕のこの対応に
母国語で何かブツブツボヤいてた。


『一緒にスシなんかどうかと思って。
2人とも晩御飯はまだだろう?』

「2人・・?」

『二階の窓に人影が映ってる』


ガラッ!

窓を開け放ち、
薄暗くなった辺りを見渡した。

何処にも・・人っ子一人居ないのだ。


『やっぱり。どのコだい?
あの、ショート・カットのコか?』

「・・・アンタな!」


まんまとカマ掛けられてしまった・・。

だが、油断はならない。
この番号を知っているぐらいだからな。


「御飯なんか1人で食べりゃいいだろ」

『そか・・。随分嫌われちゃったな。
出前頼んどいたから2人で仲良く食べ、』

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