ダカラ、my girl♥
ピ! ガチャン!
乱暴に受話器を置いたせいで、
古幸さんの肩が揺れたのを見てしまった。
「・・・ゴメン、父だった・・。」
「そう・・。」
ピンポーン・・
本当に出前を頼んだらしい。
僕は思わず額に手を当てて天井を仰ぐ。
と言う事は
此処の住所も知ってやがるんだ・・。
「私が出ようか・・?」
落胆した様に見えたか
顔を覗き込んだ彼女がそう言った。
首を振ろうとしたが
微笑んだ彼女が立ち上がったので
諦めて甘えることにした。
「・・悪い、多分スシの出前だ。」
少し首を捻ってから彼女は玄関へ。
そりゃ何で
スシが届けられたかって思うさ。
(此処だけは知られたくなかった)
滞在中、入り浸り・・
なんてコトは絶対に避けたい。
「あ、あの・・。」
「・・?」
困ってる彼女の声がした。
まさか、未払いだったとか。
アイツ・・嫌がらせか?
どんな親だよ、まったく・・。
「いやいや。
もうお金は払ってあるから。」
「!!」
鞄から財布をあさってると
そこが影になったんだ。
シャツにパンツのラフな格好
それでもチョイ悪・テイストの・・
スシ桶を腕に三つ抱えた親父が
何食わぬ顔で入って来てたんだ。
(それで歩いて来たのか?
まさしく"ヘンな外人"・・)
その後ろに
申し訳なさそうな古幸さん。
「ごめん、粟国くん・・。」
どうせ押し切られたんだろう。
仕方がない。
「いや・・。」
「いいんだよ、気にしないで。」
「・・テメーが言うな。
腰から手を放せ、このセクハラ親父ッ!」
この時、まさか玄関にコロコロの着いた
大きなトランクが置いてあるのを
僕はまだ知らなかったのだ・・。