ダカラ、my girl♥
Ⅹ, two face
「・・ごめんね、遅くなって。」

「ううん、
中で待ってれば良かったのに。」


粟国くんが図書室に帰ってきた。

実は一度入ったが敵を見る様な
ダーツの的になった気分の
イターイ・・視線に耐え切れず。

直ぐに廊下に出て、
探せる範囲内で彼を探したのだ。

もちろん、窓の外も・・。


「・・いいの、ここで。」

彼が鞄を取ってくると
そのまま自転車置き場に向かう。

今日はこれから
新しく出来たショッピング・モールへ
寄る予定だったが・・。


( 粟国くん、無理してるんじゃ・・? )


「・・どうしたの?」

「え・・あ・・時間、大丈夫?」

「・・時間? まだ3時だよ?」


違うの、そうじゃなくて・・。


「誰かに会わないかと思って・・。」

「何で? 」

さっきの女の子と
会ったらマズくはないの?

本当はそう言いたくて、
モタモタしてる。


「・・可愛い靴、買うんでしょ?
僕もいろいろ見たいものあるし。」

「うん・・。」


肩を軽く押されて自転車に乗った。

「行こう・・。」

彼の広い背中を見たくなくて
一生懸命、隣に着いてこいでる。

ずっとそうしてると

リバウンドもしなくなって
体も随分と軽く動くようになった。

でも。

遠すぎてわかんなかったけど

彼が腕に抱いていたヒトは
私なんかよりずっとずっと・・

線のか細い女の子だった。


「ァ。」

モール街で自転車を止めると
ほんのちょっと屈んで私の手を握り

案内の地図の所まで
当たり前の様に連れて来たのだ。

その手の力は少し強引で・・

"また誰かに何か言われたのか?"
と、疑わせたに違いなかった。

それでも顔には出さず、
靴売り場を地図で探している。


「・・・・ねえ?」

「ん・・?」


恐る恐る返事する私の顔も見ずに。


「そんなの気にするなんて
僕に対して失礼だとは思わない?」

「あっ・・・・違うのっ・・。」


彼を怒らせてしまった・・?

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