Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
☩プロローグ☩
暮れなずむ公園。
ジャングルジムのてっぺんで一人の男の子が途方に暮れた顔で腰を掛けていた。
「あ。いた。」
セーラー服を翻し駆けてきた少女が男の子を見付けて声を上げた。
近寄り少し不思議そうな顔で男の子を見上げて問う。
「そんなトコロで何してたの?」
「別に?」
にっこり笑顔で会話終了。
暫く無言が続き、男の子が言いにくそうに尋ねた。
「そ…その辺に犬いなかった?」
「犬?…ああ。擦れ違ったかも。首輪してたからどっかの家の犬じゃないかなぁ。」
だからなぁに?と首を傾げて、やにわに状況が読めた。
「ふ……ふふふふっ」
「なっ、笑わないでよ。」
肩を揺らす少女に少年は赤い顔をプイッと背けた。
「…仕方ないでしょ。僕昔っから動物に嫌われるんだよ。」
拗ねた男の子を少女は可愛くないとは思わなかった。
寧ろ逆。
彼は普段とても礼儀正しく、その歳に似つかわしくないほど大人びていた。
“イイ子”だとは思っていたけれど、彼の人間らしい綻びにぐっと親近感が湧いた瞬間だった。
「ほら、帰ろ。」
少女はジャングルジムを一段登り、片方だけ―――汚れてしまった白い靴下を払って、拾った彼の靴を履かせた。
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