Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
作り置きされた美久のご飯を噛み締め、後ろ髪引かれる美久の部屋を出る。
一旦家に帰ってシャワーを浴びるだけして会社へ向かった。
作業室には僕同様休出に駆り出された久保塚君がいて既に準備万端で待っていた。
「久保塚君も難儀だねぇ。」
新人といえども一人で仕事を任せられないというわけではない。
仕事には担当が割り振られていて、あの食玩の仕事は一応、僕の担当になっている。
久保塚君は今回あくまで僕の助手として呼ばれたわけだ。
僕が悪いわけじゃないので謝らないけども…その辺は久保塚君も分かっているので苦笑気味に肩を竦めるに留まる。
そこへ幸村さんが「よぉ!」と声を上げて入ってきた。
「二人とも悪ぃな、休日返上で!」
「幸村さん、絶対悪いなんて思ってないでしょう。」
相変わらず僕の厭味など通じない男は「そんな怒るなよー。」と悪びれもせずにカラカラ笑うため、コッチは溜息を吐くくらいしか出来なくなる。
「やる気なさげに決定を引き延ばしといて、いざコッチに仕事丸投げ段階になったら急かすってどーなんでしょうかね。」
「まぁ、型が決まらなかった分制作日程が押してっからな。ヤツ等にしたら本業務なわけじゃねぇし、さっさと進めてちゃちゃっと終わらしてぇんだろ。」
その辺、コッチとアッチの橋渡しとしてスムーズに事が運ぶように調整するのが営業の仕事だと思うんですけどね。
なんて厭味はもはや言う気力もなく呑みこむ。
そこへキィッと音をさせて扉が開いた。