Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
「じゃあ、これから打ち合わせなどで連絡を取り合う機会も増えると思いますので名刺をお渡しさせて頂きます。繋がらない時の為に私のプライベート用の番号も控えてさせていただきますわね。」
裏にプライベートと思しき番号を記した名刺。
本来、打ち合わせは担当の営業として頂くもので、試作担当としてはその決定に動くのみなんですけどね。
「有難うございます。」
ニッコリと笑顔でそれを受け取る。
「ではまた後で」というセリフを置いて須藤が久寿軒さんをエスコートして部屋を去った後。
「プライベートの名刺を切ってくるとか、女だてらに凄い自信家だな。」
「ま、あの美貌ですからね。これまで振られた事なんてないんじゃないですか。」
あそこまであからさまでは彼女の下心に気付かぬ者もないだろうけど、感心した風の幸村さんと納得気味の久保塚君。
「それに加えて、社内でも一目置かれているくらい優秀な方だぞ。社長令嬢というのは然ることながらアレでいて中々仕事はやり手らしいからな。」
そんな声に顔を向ければ今しがた出て行ったばかりの須藤がいた。
出たトコロで専務と出くわし、しばしの間お守役の交代となったようだ。