Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩


「はぁ~。才色兼備ってヤツですか。羨ましいなぁ。」

「どうだ、柏木。玉の輿だぞ、玉の輿!!」


色めき立つ二人を尻目に作業に取り掛かる。

バカバカしい。

僕には美久がいるのに他の人にヨロメクわけないでしょ。


「それを君は知ってる筈なのに、何でああ無駄に煽るような事をするかな。」


ちらりと非難の目を向けてみるも当人はどこ吹く風。

無表情に近いポーカーフェイスに若干の喜色を滲ませてニヤリと笑って見せる。


「相手にいかに楽しく気持ちよく仕事をしてもらうのが出来る営業というものだ。オマエの笑顔一つで仕事がスムーズに流れるなら安いものじゃないか。」


……君、実はクスリンジャー隊長にされたの根に持ってるの?


「ともかく相手はお得意様だ。彼女の勘気を被らないよう上手くやってくれ。」

「はいはい。」


その話には肩を竦めるに留まって、僕は本格的に作業に取り組みだした。




☩ ☩ ☩


結局その日仕事が終わったのは午前零時。

全て終わったワケじゃないけれど乾燥の工程までは終わったから後は色付けと微調整だけ…明日は早く終われそう。

はぁ。

美久に会いたかったけどこの時間じゃ、ね。

美久も遅番で疲れているだろうし、明日も仕事だろうし。

心身ともに疲労困憊の体でのろのろと自分の家に帰る。

うん。明日こそ頑張って仕事終わらせて、夜は美久を命一杯堪能して過ごさなきゃ。
< 109 / 333 >

この作品をシェア

pagetop