Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
木戸さんが嬉しそうなのは売上が伸びたからじゃなくて、単純にお客様に喜んでもらえたからなんだって、その笑顔で分かる。
木戸さんの本業は売上や販売員の管理であって、販売は臨時業務にも拘らず柔らかい対応で卒なくこなしてしまうのにも尊敬してしまう。
販売員はお客様のニーズに合ったものを、あくまでも薦める、選び出すだけであって、強引に売りつけては駄目。
当たり前のコトだけど、どうしても自分目線でチョイスしがちになってしまうものだし、販売員という立場上つい商売っ気が出てしまうものだもの。
ばたばた忙しなく動き回って気が付いたらあっという間にお昼を過ぎていた。
遅番である麗那さんが店頭でちょこまかしている私を見て「あら。きたのね。」と言いたげに顎を聳やかし、販売に入る。
同時刻出勤でアルバイトの川端クンも来た。
川端クンは大学生だけど今日は講義が早く終わるって、セールで忙しい事もあっていつもより早くに入ってくれたんだ。
コレがフルメンバー。
「木戸さん。今更ですがリノちゃんが帰る前にお昼いってきちゃったらいかがですか。」
「うん。じゃあ、そうさせてもらおうかな。」
スタートからのリノちゃんがもうすぐ業務終了の時刻。
麗那さんの打診に木戸さんが頷く。
そこへ靴の入った箱を山積みに運びながら後ろを通り掛かった川端君が割り込む。
「ミクミクも早番だったんだろ。ついでに休憩取って来ちゃったら?今ならちょっと空いてるし。」
ちょっと川端君、年下のくせにミクミクとか呼ばないで。もっと年上を敬いなさい。
って、川端君は私よりバイト経験が長くて、トロイ私より俄然仕事が出来るんだけども。
そんなコトより!!
川端君の鈍感っ。
これが数日前なら舞い上がっていたケド、失恋した相手と一緒なんて苦しくて無理だよー。