Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩

この見覚えのあるファミリィーズ向けマンションは私達が育った場所で、私達が出て行った現在はパパとママが住んでいる。


「今日は珍しく義父さんも母さんもいるんだって。」


エレベーターで五階に上がり、我が家のインターフォンを押す。

顔を出したのは笑子ママ。


「お帰り~。いきなり来るなんて一体どういう風の吹きまわ……あら。美久ちゃんも。」


ドアを開けがてらマシンガントークの笑子ママが言葉を途切り、私を見て、悠里を見て…


「ヒロシさん、ヒロシさーん。」


私達を置き去りにパパがいるのであろうリビングに戻ってしまった。

首を傾げつつも悠里に促されてリビングに向かうと、リビングで新聞を読んでいたらしいパパは新聞を置いて「お、よく来たな。お帰り。」と笑顔を向けてきた。

椅子に座るパパとその傍らに立つ笑子ママ。

その正面に並んで立ち、隣の悠里がニッコリ笑顔で言った。



「僕達結婚する事になりました。」


………………………………………。

どえぇぇぇぇっ!!!!!

そりゃ確かに昨日、結婚して?うん。というやり取りはしたけどもっ。

い、いきなり!?

両親だって健やかな姉弟だと思っていた二人がいきなり結婚なんて言い出したらビックリしちゃう―――


「「おめでとう!!」」


…………へ???

心からの祝福にきょとんとする私。

二人を見ればニコニコと笑顔で、まるで驚いている様子もない。

なんで?


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