Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
一人で従業員用の休憩室に行こうと決めて、それを木戸さんに告げようと思いきって顔を上げた時。
「あの、悪いんだが。俺、この子と休憩するから。」
そう言って木戸さんがポンッと手を乗せたのは“彼女”ではなく私の頭。
…え。
「あぁ、同じ職場の人ですか。従業員にも気を使うなんてさすが木戸さんって優しいんだから。私はご一緒でも構いませんけどぉ?」
「いや…そうじゃなく…」
木戸さんはちょっと呆れたように溜息を吐いて、徐に真っすぐな顔で彼女を見据えた。
「あのさ、自意識過剰だったら悪いんだけどこの間のコト、俺の態度が君に誤解させたんだったらゴメン。」
「えっ。誤解って。で、でも…あの時、木戸さんは本当に優しくしてくれたじゃないですかぁ。」
「その誤解を生む言い方も辞めて欲しいんだけど。帰りに気分悪くなったって蹲ってるのをほっとけなくて家まで送って行っただけだろう。人として当たり前の親切だと思ってるし、本当に他意はなかったよ。」
…へ?
体調の悪い彼女を家まで送っただけ?
「そういうの本当に…誤解されたくないんだ。」
呟くように、だけどもしっかりと聞こえたその声。
一瞬だけ、木戸さんの視線を感じたのは私の気の所為?
それじゃまるで私に誤解されたくないんだって、木戸さんが思ってるんだって…、
オメデタイ私は妄想しちゃう。
もしそうなら…もしそうなら…