Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
いきなりの絶叫に悠里がびくっとなる。
「え?…なにがダメ、なの?…やっぱり僕との結婚………」
「そうっ!…って、あっ、違っ。違わないけど、違くて~」
見るからに萎れてしまった悠里に思わずしがみ付いて必死に訴える。
「今直ぐは結婚出来ないよ。だって私まだ………木戸さんの彼女、なの。」
その言葉に悠里もようやく顔を上げる。
すっかり忘れちゃってた、なんて甚だ失礼だけど。
悠里にプロポーズされて、気付いた自分の気持ちに舞い上がって、勢いで結婚まで来ちゃって、すっかり忘れてたけど。
私、木戸さんと付き合ってるんだった…。
「他に好きな人がいるから別れてくれなんて最低だけど……他の人と結婚したから別れてくれって言うよりマシだと思う…。」
「…まぁ、そうだよね。」
悠里は頷いた後、心配そうに私を覗きこんだ。
「言いにくいなら僕から言ってあげようか?」
私はプルプルと首をふる。
「大丈夫!だってこれは私と木戸さんのことだもん。失礼な事したのも含めて、ちゃんと謝りたいの。」
そう言うと悠里はほんの少し目を細めて優しく私の頭を撫でた。
「うん…。美久は強いね。でも僕も無関係じゃないんだし、しんどかったら無理せず直ぐに言ってね?」
「うん。」
壊れモノみたいに頭を撫でる感覚が心地よくてほんのり和みながら、私は頷いた。