Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
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「え゛ぇっ!!結婚届けもう出しに行っちゃったの!?」
自業自得とはいえ木戸さんを傷つけた私は罪悪感に苛まれながらも、仕事を終えた所を迎えに来てくれた悠里の顔を見た途端ふわっと心が和んでいった。
やっぱり私にとって悠里の存在って格別なの。
だけど呑気に和んでいる場合じゃなかった。
悠里の爆弾発言に素っ頓狂な声を上げ路上に立ち尽くす。
唖然と見上げる私に悠里は叱られた子供が虚勢を張るみたいに俯き気味に口を尖らせる。
「だって…木戸さんと会って美久の気持ちが変わっちゃったらどーしようって不安だったんだもん。」
ぅ゛……
悠里は昨日の結婚話の辺りからこんな風にちょっとワガママッ子だ。
こんな風に拗ねた顔して見せたってダメなんだからっ
……ダメなんだから……
「し、しょーがないなぁ~もう~。あ、一緒に行きたかったからちょっと残念なだけで、出した事を怒ってるワケじゃないからそんなにしょげないで?ネ。」
ワガママ悠里、最強っ。
母性本能を擽り倒された私は思わずそんな事を言って悠里の頭を撫で撫で。
ああ…私ってば愛犬にゾッコンのおバカな飼い主くらいに甘い。甘すぎる。
私の許しを得た悠里は憂いた表情を一転「ホント?ヨカッタ。」と特上の笑顔をあげる。
……なんか、こう…
良いように踊らされている気がするのは私だけでしょうか…。