Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩

はぁ、と溜息を吐く私の鼻先にすっと何かが差し出される。


「プレゼント」


ん…?と顔を上げて、そこにあった物に目を見開いた。

悠里が得意げに差し出す小箱。

黒いビロードの中で光る二つのシルバーの指輪。


「ふふっ、結婚指輪買ってきちゃった。」

「けけけ結婚指輪っ!?」

「あ。ひょっとして一緒に選びたかった?だとしたら勝手にゴメンね?」


や、私あんまりセンス良くないし、悠里の方が絶対目利きだからそれは良いんだけども。

て、展開早い~。


「婚約指輪は欲しい?婚約期間もなくて婚約指輪も用意しなかったものね。美久が欲しいなら今度一緒に見に行こうよ。それとも普段付けられるようなファッションリングにしてもイイね。」


悠里のそんな言葉にあたふたしていた私の眉がピクッと動く。


「悠里の気持ちは嬉しいケド、そんな無駄遣いは許しませんっ。」

「婚約指輪は無駄遣いじゃないと思うんだけど…」

「生活にはお金がかかる物なの!そんなお腹の膨れない贅沢品を買うより、今後の生活に役立つお金の遣い方しなきゃだよ。例えば老後の為に貯金するとかっ。」

「……美久って意外なほどそう言う所リアリストだよね。」


< 139 / 333 >

この作品をシェア

pagetop