Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩

ちょっとダケ呆れながらも、その顔は直ぐに零れるような笑顔に変わった。


「ん。分かった。お金は今後の生活に役立つように遣います。」

「はい。そうして下さい。」


へなちょこな私が悠里に対してお姉さんぶれた事がちょっと嬉しくて、大業に頷いて見せる。

だから悠里の言葉の含みに気付くはずもなく……というか、店長曰く“浮世離れしたボサッと感の小娘”である私が気付く筈などナイわけで。

ついでに言えば、悠里の行動力をすっかり見過っていた。



☩ ☩ ☩


んふふ、んふふ。

次の日の仕事の帰り道。

自分の薬指に嵌る指輪を眺めては鼻歌も飛び出しそうな心持で家に向かう。

結婚しちゃったんだなぁ、悠里と。

まだ実感が湧かないけど、指輪を見るとちょっとだけふわふわしてるだけの気持ちに現実味が出る。

指輪をして行ったお陰で職場には恙無く結婚が伝わった。

突然の結婚には少々驚かれたけれども相手が悠里だという事には意外と反応が薄かった。


『あ~…何となく最初から分かり切ってた事なんでぇ…』って。

…みんな最初から何を分かり切ってたんだろう……。

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