Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
「ただい……………」
「お帰り、美久。」
今日は用事があるってお迎えに来られなかった悠里だけど、部屋に帰ったら悠里がいて、私を笑顔で迎えてくれた。
……部屋に帰ったら悠里がいて
…………って。
……私の部屋?だよね、ここ。
今朝まで見慣れた私の部屋は、何故か壁に囲まれただけの箱的な空間になっている。
そのガランドウの真ん中で相変わらず王子様みたいに微笑んでいる悠里。
「お帰り美久。―――さぁ、行こうか。」
…………………へ?
何をどう突っ込めばいいか分からずにぼへーっとしていただけの私は悠里に手を引かれてたった今帰宅したばかりの部屋を後にした。
どこに行くのか訪ねてもオタノシミと言って教えてくれない。
辿り着いたのは家から歩いて三十分ぐらいの所にあるマンションだった。
「ふわぁ。お洒落。」
築浅なのは然ることながら、新婚さん向けのデザイナーズマンションらしくファミリィー向けの物より狭いけどもシングル向けの今まで住んでいた私の部屋よりずっと広い間取りで綺麗。
木製家具と前衛的な家具が絶妙な調和でもっていて配置されていて、住人のセンスの良さが伺われる。
……って、ここどちら様のお宅なんだろう。
悠里の知人か友人に夕食でもご招待されたのかと、悠里に促されるままにのこのこ上がり込んじゃったけど家人らしきは不在の様…。