Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
二日前に悠里にプロポーズされて。
昨日、親への挨拶ってヤツをして、夜には籍を入れて、結婚指輪を貰って。
本日、新居にお引っ越し!
……て。
のんびり屋な私にはあたふたする間もない急展開。
唖然としている私に悠里が阿るように言う。
「ごめんね。色々勝手にしちゃって。でも美久と出来る限り一緒に居たいんだもん。」
う゛…また出た。
悠里の最強の武器。
俯き加減からの上目遣いが許される男の人って、悠里以外にいるのかな。
「幾ら結婚したって言っても、ほんの数日前まで美久にとって僕は単なる弟だってのは分かってるから、いきなり夫婦らしくなんて強要する気はナイよ?ただ、一緒にいたいんだ。それぞれ個室持って同居って形なんだからイイでしょ?」
はい、イイです、と頷く私。
童話に登場しそうなくらい格好イイ王子様の可愛いオネダリにうっかり絆されたとしても、私の所為じゃないと思う。
それに実家に居た頃は当然だけど一緒に暮らしてたし、社会人になってお互いに一人暮らししていたとはいえ悠里は常に私の部屋に入り浸ってたし、今更一緒に住む事に抵抗はない。
寧ろ、悠里が帰った後の独りぼっちがちょっと寂しいと思い始めていたから、同じ空間にずっといられるのは嬉しい。
……へへ、嬉しいな。
自然と顔がニヤける。
そんな私の反応に顔を綻ばせた悠里は一件落着とばかりに私の手を取り、夕食の支度の整っているテーブルへ誘う。