Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
「ところで悠里、今日お仕事は?」
「休出の代休二日目。さすがに引越しは疲れるよね。引っ越し業者といえども美久の物を触らせるのは嫌だったから、美久の物は僕が全部運んだんだから。」
「え?そうなの?それは大変だった―――…」
はっ!!
とある事を思い出し固まる私に、悠里が肩越しから笑顔を覗かせる。
……満面の笑顔が非常に恐ろしい。
「で、クローゼットの中にあったあのお菓子の山はなぁに?」
ぎゃー、やっぱりバレてた。
「あれほど深夜にお菓子は食べちゃ駄目って言ってるのに。」
「たたた食べてないよっ。あれは観賞する為の物なのっ。あ。でも食べてもウガイだけじゃなくてちゃんと歯磨きするんだからぁ―――」
「うん。言えば言う程矛盾だらけのその言い訳は止めようね。」
ハイ…スミマセン。ごめんなさい。
「僕は意地悪じゃなくて美久の為に言ってるんだけどな?深夜にお菓子なんて食べたら肌にも悪いし体にも悪いでしょ?」
ぅぅ………。
毅然と私を見下ろしていた悠里は徐に表情を崩す。
「ま、いっか。今日からは僕がちゃんと見張ってあげるからネ。」
………ちょっとだけ今、悠里と一緒に住む事を悔やみました。