Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
ピクリ、と髪を撫でていた指が動く。
「……切るって、どのくらい?」
「ん~?んー、思い切ってバッサ――――
「ダメ。」
みなまで言わさず、言葉の続きは悠里にバッサリ切られた。
「なんでそんな事言うの?絶対イヤだよ。僕にとって美久の髪の手入れが生きがいなんだよ?それにこの艶を保ってここまで伸ばすのに僕がどれほどの手間と愛情を注いだ事か。それを切るだなんて…僕は絶対認めないよ?一㎜たりとも譲らないからね。」
「あ、は、ハイ。うん、そーだよね…」
美久は憤慨する悠里を宥める。
あぁ…何の気なしに放った言葉だったのに。
それで悠里の数少ない激麟に触れてしまったらしい。
というか、人の髪の毛の手入れが生きがいって……
悠里の感性がちょっと心配。
悠里の世話好きにちょっとダケ呆れながらも、ドラマが始まって視線をテレビに戻す。
……が、再開する筈のブラッシングがなかなか始まらない事に気付いて、背後に顔を向け、美久は固まった。
いや、固まっていたのは悠里だ。
ブラシを持ったままこの世の終わりみたいな顔で固まっている。
「……え゛?ゆ、悠里どうし――――
「枝毛――――――――――――――――っ!」
………………へ?枝毛?
絶叫に美久はぽかんとする。